
「変身」 2010.4.4 (サンケイホールブリーゼ)
作 : フランツ・カフカ
脚本・演出・ 美術・音楽 : スティーブン・バーコフ
出演 : 森山未來、穂のか、福井貴一、丸尾丸一郎、久世星佳、永島敏行
http://www.parco-play.com/web/play/henshin/
ある日目覚めたらグレゴールは巨大な「虫」になっていた。
家族のために身を粉にして働くグレゴールはある朝目が覚めると自分が虫になっていることに気がつく。
父はあからさまに嫌悪し、母も妹も徐々にグレゴールを虫として見るようになっていく。
昔々の本ですが、現代の日本でも「引きこもり」や「介護」などと色々と当てはめて見ることもでき、考えさせられるお話。不条理のカフカはあまり好きではないと言うかよく理解できないってのが本音。むずかしいです。
まぁ何はともあれ、圧巻!!のひと言。
私達の目の前の舞台の上には確実に「虫」が存在していました。
森山未來には出来ないものはないのかも!?と思わず唸ってしまうほどの身体能力と演技力で目を釘付けに。
指先、つま先、関節、首、上半身、下半身、どの動き1つ見ても人間はあそこまで「虫」になりきれるものなのか。
音とマイムと身体の動きだけに見事「虫」を表現して見せた彼は見事としか言いようがありません。
よくもまぁあの体勢からきちんと発声できるもんだ。
他の共演者の方たちには申し訳ないけれど、他を全て影絵でセリフも無くしても、森山一人でも成立するんじゃないかと思わせるほどの素晴らしいものでした。
スタンディングオベーションこそあれど、こんなにも「ブラボー」の声と指笛を聞いた舞台はありません。(いつも思う。指笛できたらなぁって)
何人かの男性が「ブラボー」と声をかけ続けておられました。
カーテンコールはいつも抜け殻のように無表情なことが多い森山ですが今回しきりにお辞儀をし手をふり笑顔を見せてくれていたのが印象的。それだけでまた涙がでる程でした。
この変身は18年ぶりの上演だとか。
その18年前はあの宮本亜門がグレゴールを演じていたそうだけど、これも何かの縁でしょうか。
森山未來のデビューは宮本亜門の舞台でした。